同姓同名の悲劇

あの人に偶然会いました。 昔お互いに好きだったと確信していたあの人です。 信号待ちしていたらずっと見てる人がいて、よくよく見たらどこかで見た顔です。 次の瞬間、あっ!と思いました。 昔、好き同士な事は確信していたのに、私の誤解のせいで成就出来なかった恋の記憶が、私の胸をチクッと刺しました。 あの頃、その彼と私は自宅の電話番号しか知らなかったんです。

 

なので、電話のやり取りをしていました。ある日、その彼からの電話で積極的にデートの誘いを受けたんです。 いつもはそんなに積極的な事はなく、どちらかと言えばシャイで誘いたいけど、なかなか誘えないって感じが見え隠れしていたのですが、その日の彼はいつもと違っていてとても積極的でした。 もちろんOKしました。

 

デートの日が来て、いざ待ち合わせ場所に行ったら、いつも彼と一緒にいた男友達がいました。 私は、挨拶しながら彼が来られなくなったのか何かあったのか?と心配になって息を飲んでいた時、その彼の友達が『じゃ、行こうか』と言ったのです。 私は何がどうなってるのかわからず、頭の中はパニック状態です。 よくよく話を聞いているとなんだか変な違和感に気が付きました。 その男友達は、彼と全くの同姓同名だったのです。

 

あの時、電話での声の違いは喉の調子が悪いと言ってた彼の友達は私の好きな彼ではなかったのです。 その事に気が付いた私は、コーヒーだけお付き合いして、勘違いしてデートに来た事は伝えずに帰りました。 その日を境に、好きだった彼からの連絡は来なくなりました。 私も自分から連絡をして誤解を解かなければならない関係じゃないに、気持ち悪がられないか?等色々考えてしまってそのままになってしまって終わった恋です。

 

後になって、好きだった彼も私の事を好きでいてくれていた事を知りました。 親友が私とデートした事を知って身を引いた事も知りました。 あの時、私が間違えた事をはっきりと言葉にしていたらと悔やまれる恋です。 その彼と久しぶりの再開で、そのままランチに行ってきました。

 

今回はしっかりラインとスマホの番号を交換して連絡を取り合っています。 まだあの頃の誤解は話せていませんけど、今を楽しみたいと思います。